【FF10ジェクブラ文】ベッド話1‐8(さいがわも)

2014年03月24日 00:53

 はいどうも、腐男子さいがわもです。
 くずはの代わりに連日更新中。
 終わったぁ~いやあ書き終わりました。
 最後の方は駆け足になったけど。
 〆るの苦手だぁ…
 あとは校正とかをくずはに丸投げするだけだぜ!



 じゃ、注意書きテンプレ。

●FF10のジェクト×ブラスカ文
●普段からナチュラルにいちゃつく
●互いに片想いだったが結ばれたため、好き好きオーラ一層駄々漏れ隠す気なし
●「おっさん二人が何で」と半ば諦めてるアーロンは既に賢者モード
●冒頭に振った番号と、冊子化した際の章番号は、必ずしも一致しない

……こんな具合です。
 大丈夫な方はどうぞ。






8.

 ブリッツボール大会決勝戦は、観客の期待を凌駕するものとなった。試合が始まって早々、客席中が「あの男がいない」と騒ぎ始めたからだ。
 目印であった赤いバンダナと黄色いパレオの姿はどこにもなく、敵チームは客席同様、完全に混乱していた。ジェクトはフィールド上で気ままに泳いでいた。後ろ髪を括った男は、しかし仲間のパス回しに加わる訳でもなく、プール内をひたすらクロールで駆けていた。いざ男を発見し、マークをしてもボールは来ず、一方でディフェンス陣の裏をかいたゴールが決められていく。守っているはずのネットが揺らされ続ける不思議に、敵が答えを導き出したのは、後半戦の中盤だった。なぜ男が泳ぎ回っていたのかを知るには、少々遅すぎる時間であった。
 ジェクトの狙いは、相手チームを撹拌し、味方にゴールを決めさせることだったのだ。
 パス練習のあと、男はチームより、三名の選手が今大会で引退すると聞かされていた。一人は足を故障した青年で、これを機に選手を引退し、チームのコーチとして助力することが決まっていた。二人目は偉丈夫だ。年老いた両親の代わりに家業を継ぐため、郷に戻る決意を固めていた。最後の一名は、パス練習をした娘だった。彼女は既に結婚しており、なんと大会前日に妊娠三ヶ月目であることが判明したのだ。それぞれの事情で一線を退く彼らに華を持たせてやりたいと、若者達から相談されたジェクトの方が乗り気だったのは言うまでもなく、三名はきっちりと、決勝の舞台でゴールネットを破っていた。
 宿を出るジェクトから直々に預かったパレオをストール代わりにし、軽装の膝で赤いバンダナを握りしめた召喚士は、掲示板の表示を見る。残り時間は一分。圧勝なのは誰もが判っているものの、目当てはやはり、彗星のごとく現れた男のシュートだ。味方の目が一斉にジェクトへ向けられる。ジェクトは頷いた。千秋楽の大トリを飾る技は、ブラスカには判断ついていた。
 身重の娘をゴール近くまで下がらせたのは、チームリーダーの独断だ。もう休んでも良いという指示を、ありがたく受けた娘が下がる一方で、男衆はプールを縦横無尽に駆けていく。フィールド上に残されたのは、ジェクト一人だった。相手チームがますます乱れる。にやり、と笑った“キング”は猛速でゴールを目指した。飛び交うボールを無視して到ったゴール目前、敵のディフェンダー二名とキーパーが立ち塞がる。タイミングよく運ばれたパスは、引退する偉丈夫からだ。親指を立てて陣へ戻る彼からのボールを、ジェクトは宙へ放った。
 シュート一発目は相手一人をのけ反らせ、帰ってきたボールをパンチングしてもう一人にぶつけてのけ反らせた後、戻ったボールをきりもみ回転しながら、ボレーシュートを叩き込んだ。キーパー取れないっ、ゴール! アナウンスが会場に響き、歓声が轟く。試合終了の笛の音が、ジェクト属するチームの優勝を同時に知らしめた。
「ジェクトシュート! わぁ、もう一回見ることが出来るなんて!」
 男の技を見て誰よりも喜ぶ召喚士の隣で、アーロンは腕を組む。あれはアリなんだろうか、いやまぁ眠らせたり毒を盛ったりその他諸々反則紛いのプレイも審判の目を盗んで行われるのだし、“ただボールがぶつかって気絶させてしまった”くらい大した事はないか。勝手に悩んで勝手に結論付けないと、プレイヤーではない青年には納得できない様子だ。
 優勝に沸くチームの中で、ジェクトだけは、背泳ぎからの反転でゆったりと、先にプールから上がっていった。助っ人業は終わったと言わんばかりに去る男を、依頼者達は慌てて追う。客達もちらほらと、腰を上げ始めた。周囲の流れを素早く読み取って、アーロンはバンダナに頬擦りをしているブラスカを、背後から引っ張り立たせた。
「いつまでやってるんですか、早く行かないと逃しますよ」
 きょとんとする召喚士も、ようやく周りの変化に目を巡らせた。人垣が出口に向かっている。カフェに入ることすら出来なかった一昨日と、全く同じ状況だった。しかし、ブラスカは涼しい顔だ。
「今日は大丈夫だよ。控え室直行コースだからね。そこから一緒に動けばはぐれない」
「は?」
 意味が分からないと面を歪めたアーロンには答えず、身を翻した召喚士は波に乗って、会場から脱出した。駆け出したブラスカが目指すは一つ。心身共に疎通しあった、ブリッツキングの腕の中である。追いかけるアーロンの目には、どこで身に付けたのか明かされはしないであろう、人壁のくぐり抜けを行いつつ進行する、昨日までとは異なる背中が映っていた。
 短期間の契約者達を除き、誰よりも先に言葉をかけたい一心で、軽装の彼は足を回転させた。夢の再現であると、召喚士は思い出す。けれども、もう彼は足を踏み外しはしない。否、踏み外すなど、させて貰えなくなった。
 見えた控え室から出てきたのは、雇い主達に別れを告げつつ扉を引く、想い人その人。
「ジェクト!」
 男の登場を待っていた者達を制するが如く、息を切らしながらブラスカは叫ぶ。一斉に振り返る影を順に避けきって、召喚士は踏み切った。読み違えた距離は遠い。けれども受けとめる側の男は、広大なフィールドで全ての球を回収する実力者だ。数にして三歩。三歩目を踏んで、つま先立ちをし、伸ばした両腕の中には、愛を確かめた存在が既に収まっていた。
 四歩目で止まったジェクトは、首にすがり付くブラスカをぎゅうと抱き締め返して、きっちり五秒経ってから上体を離す。三試合目にしてようやく、念願の会話が叶った。
「お疲れ様」
「おう」
 見つめあい、額を付け合って、笑いあう。やっと伝えられた嬉しさを、男の腕中で更に飛び付くことで表現する召喚士が可愛いと、男の方も彼(カ)の人の長髪を一房持ち、口付けて返した。大会も終わり、想いも通じあった二人が、視線だけで今夜のお楽しみの約束を取り付けた事には、誰も気付かないだろう。
 ところで再度の確認だが、ここは、ブリッツボール大会優勝チームの控え室前である。廊下には一般の、室内からは選手達の眼があった。ぽかんと口を開ける者、キャーと目や頬を覆う者、驚き倒れる者、喜びか悲しみか判じがたい涙を流す者 ―― 様々な反応を示す人々の中で唯一、召喚士とガードをよく知る人物だけは、自身の道徳に乗っとり、金切り声をあげていた。
「いちゃつくのは俺以外の目がないところでやりやがれ中年ども!」
 お前はいいのかよ、と周りの誰もが突っ込まなかったのは、吐き出された青年の台詞によって、彼が二人の『世話』を焼かねばならない立場だと悟ったからである。苦労を背負ったアーロンに向かって合掌する者も、何名か現れたのだった。



【終わろう】
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