【FF10ジェクブラ文】ベッド話1‐1(さいがわも)

2014年02月26日 22:32

 思ったより筆の進みが遅れてるんで、連載にします。
 はいどうも、腐男子さいがわもです。
 ベッド話が進まんぜよ。
 やっそんの部分は先に書いたんだが、そこに至るまでが、難しい。
 得意の一方的に蔑ろ路線か否か、双方の誤解路線かで悩んでんだよなー。
 いや、今回は珍しく、最初から糖度100はあると思うけど。
 (俺基準だから、そんなに甘くはないかもしれんが)


 じゃ、いつもの注意書。

●FF10のジェクト×ブラスカ文
●普段からナチュラルにいちゃつく(※しかも本人達は気付いてない)
●互いに両片想いですが、双方ともが好き好きオーラ駄々漏れのため、周囲には余裕で筒抜け
●「おっさん二人が何で」と半ば諦めてるアーロンさんは既に賢者モード

……こんな具合です。
 大丈夫な方はどうぞ。







1.

 復路に入ってから、再び訪れたルカの街。ビサイド島からポルト=キーリカを経ての、長めの船旅で失われた平衡感覚を取り戻すべく、召喚士一行はこの街で、一晩の休息を得ることを決めた。動いていた方が早く回復できそうだ、と自己申告したアーロンが、宿の確保の任を買って出る。青年を送り出して、召喚士はもう一人のガードと、広場で待機することとなった。
 ガードの手招きでブラスカは、中央広場近くの石階段の隅に腰かけた。そこは日陰になっていて、人目を避けられる場所でもあった。後方を振り返れば、階段を昇りきった先のまぶしい青空が、網膜にくっきりと焼きつく。人々の往来が激しい土地における、他者との接触が避けられるところを選んだのだと、ブラスカは導き手の男を見つめて気付いた。ジェクトが無意識に『ガード』の勤めを果たすようになったと知って、嬉しさと共に寂しさも抱く。
「ガード職が板についてきたな」
「うん? ……おお」
 召喚士を座らせたあとも自身は立ったまま、旅の冒頭より持ち歩く大剣を右肩に担いで辺りを窺っていた男は、召喚士に声をかけられて初めて、己の取る行動に気付いたらしい。大剣を下ろして尖端を地に突き、左手で後頭部を掻くその表情は、照れが混じっている。
 ジェクトは元々、ブリッツボールの選手である。自称ザナルカンド=エイブスのキングの実力は知っているが、往路にて飛び入り参加した試合で少し機会を得たのみで、彼の活躍する場は戦野(センヤ)へと移行していた。体の一部だった『栄光』が失われる現状を嘆く姿はなく、ガードとして完成されてきたことを誇り始めた男を、ブラスカは複雑な心境で見つめてしまう。努力したジェクトへ賞詞(ショウシ)を贈りたいが、何故か得意の話術は出てこない。
 息を吐いて俯くブラスカを見下ろしたジェクトは、左隣に座って、自分より小さい背中を軽く叩いた。
「なんだよ、ガードになれっつったのは、おめえだろ。せっかくらしく成ってきたのに、良くねえって反応されちゃ、オレはどうすりゃいーんだ」
 自分が戦士として成長することを、ジェクト自身も不安視した時期があった。胸の内でとっくに切りをつけて、ガードとして行動してきたのに、今になってぶり返されるとは。首を横に振るブラスカに、男はどうすりゃいいんだと、頭を掻いて眉を寄せる。召喚士があわてて顔を上げるも、笑みをひそめたジェクトの気分は底へ沈んでいった。
「すまん、気を害したか」
 「気にしちゃねえよ」とジェクトは返す。だが、そっぽを向く口から発せられる声音は、低かった。
「怒らせるつもりはなかったんだ。すまなかった、本当に」
 上体を男の方へ向かせて、ブラスカは頭を下げる。ジェクトからの返事はない。完全に機嫌を損ねさせてしまったと、召喚士は焦り、男の右手を両手で包んだ。何とか虫の居所を直してもらおうと、丁寧に問いかける。
「どう謝ったら、許してもらえる?」
 握りしめられた掌を必死にほどいて、左手指を絡めながら、ブラスカは男にすがる。身長も自身より低ければ座高も低位置の召喚士に、上目遣いで迫られて、ジェクトはそちらを見るなり「う」と戸惑い始める。右上腕を右手で掬い取られ、困った表情が近付いたことで、意地を張り続けるなど男には不可能だった。更に。
「ジェクト……」
「だああああ!」
 ブラスカの名の呼び方に、ジェクトは滅法弱かった。声の調子や音の発し方が、男の耳には大変心地好く聴こえるらしく、脳にこびりつく音で、隠れて自身を慰めていたこともあったくらいだ。勿論ブラスカ本人はそんな事情など知らないので、ごく当たり前に呼び続ける。打ち切らせる為には遮るしかなく、ジェクトは両腕を振り上げ、ブラスカの手を弾き外した。驚く召喚士を、細い腰に腕を回して無理矢理抱き立たせてから、バンダナと頭飾り越しに額を突き合わせる。
「おめえがハッキリすりゃいい話なんだよ! オレがガードになって良かったのか、悪かったのかってのをな!」
「よ……良かった、です?」
「何で疑問形になるんだよ……」
 瞬くブラスカを至近距離で睨んだジェクトは、召喚士の返答に脱力し、額を目下の肩へ滑らせ乗せた。駄目だ、そういやコイツ、人と微妙にずれてたんだった。腕の中で身動ぐブラスカを解放しつつ、思い出して溜め息を吐いたジェクトは、それ以上この件を尋(キ)こうとはしなかった。良かった、と言うのだから、それを信じてやろう ―― と一人納得した。
 石階段の上から、指を鳴らす音が二回あがる。同時に振り返る旅の仲間を見下ろしたアーロンは、三人部屋が見つかったと報告し、それから眉間に深い皺を刻んだ。
「子供の喧嘩なら二十年前に戻ってやってくれ」
「戻れねえよ!? というかケンカじゃねえしガキでもねえよ!?」
 はぁ、とあからさまに呆れた息を吐くと、ジェクトが左手を振り上げて言い返す。あーはいはい、と応じるアーロンの動作は、普段は見せない手払いだった。小馬鹿にした態度に、しかし口では勝てない男の文句は、「んのヤロー」で終了する。
 宿が見つかったんなら、次は腹拵(ゴシラ)え行くぞ! 立場をなくしたジェクトが先陣切って、広場近くにあるカフェへと歩き出した。一人ぷりぷりと怒る男の背を、溜め息混じりに眺めながら階下まで下り、召喚士が続かないので振り向いたアーロンは、眉間の皺をますます深めるに至った。
 赤面しながらも目を細めたブラスカが、ジェクトと触れあった額を押さえて、はにかんでいた。目線が足下に落ちているため、アーロンのしかめ面はおそらく映っていない。この様子なら抱き締められた時から心拍数は異常値だったろう、と青年は半眼で見当する。
 いまだ疎通しあえていないのは当事者だけで、二人が互いに好きあっていることは、周囲には筒抜けだった。二人と寝食を共にするアーロンは気付いた段階で早々に傍観者を決め込んだし、通りすがりの通行人でさえ勘づくレベルで、二人はいちゃついているのだ。現に、広場中央の噴水近くで雑談していた若奥様二名が、年長者と召喚士を見比べて、頬を染めている。きっと、会話を断ち、やり取りの一部始終を見守って、あまりのもどかしさに苛々したに違いない。ミセス達と目があったアーロンが、唇に人差し指を添えて他言無用のジェスチャーで申し込むと、二人とも同時に、両手で口元を覆ってくれた。
 子供の好き合いなら微笑ましく見守るものを、三十路過ぎたおっさん二人が何で。―― 三度目の溜め息が、青年の口から漏れた。心労は募(ツノ)る一方である。


 カフェに入った三名を待ち構えていたのは、男女混合の集団だった。
 『落ちこぼれの召喚士』へ向けられる嫌がらせを道中で何度も目にし、標的にされた者の哀しい瞳を知るジェクトが、守るためにブラスカを背へ庇う。しかし。一団の表情を見渡して、ジェクトは「うん?」と首を傾げた。見覚えのある風貌の彼らは確か、往路でルカに到った際、人手を求めて駆けずり回っていた、ブリッツボールの参加団体の選手たちだったはずである。
 一応、顎に手を当てて連中を見、ジェクトはようやく警戒を解いた。よくよく見れば、彼らはブラスカではなく、男へと視線を注いでいる。
「あーっと……久しぶり?」
「うおー覚えてくれてたー!」
「ジェクトさん、ちぃーっす!」
 首を傾げたまま、右手を緩く挙げて挨拶するなり、今大会にも参加しているらしい彼らは、体育会系よろしく、ジェクトへ一斉に頭を下げた。



【続く】
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