【KOF】ブルー・マリー誕生日(くずは)

2009年02月04日 23:57

 本作品は、サークル:空星路 発行の『祝ってもいいでしょ? -1冊にまとめたんだ-』に収録しています。
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 以下、序文です。




祝ってもいいでしょ?  2月4日


―― この空気、久しぶりね。
 溜め息混じりで呟いて、立ち上がったマリーは、パンパンと臀部(でんぶ)に付いた埃を払った。



 ―― サウスタウン郊外。たまたま通った抜け道が、『本日の狩り場』だったようだ。《サンズ・オブ・フェイト》の『キング』が統治していようと、こういった輩は現れてしまう。
 襟首を掴まれた状態で気絶している少年を見て、考えるより先に足が動いていた。助けなければ。ラリアットで倒した男から、少年の体を奪取した所までは良かった。しかし、その辺に屯(たむろ)している連中とは、根本的なものが異なった。
 ツ……と、金属の冷たい感触が臍の上に這う。

―― ……やられた。

 少年を右腕に抱えたまま、マリーは動きを封じられた。
 銃口は丁度胃の辺りで、火炎放出の時を待っている。即殺はしないようだ。面倒ね……眉間に皺を蓄えながら、銃を持つ長身の男を見上げた。

「連れが何か仕出かしたのかしら。それにしたって、コレは無いでしょ」

 男は応えない。突然現れた女に、これからどうするべきかと考えているらしい。密入国者の一団、という可能性も出てきた。応えないのではなく、応えられないのだ。言葉が通じないのは、彼、いや、彼らが他国の人間だからに違いない。
 金髪を優雅に掻き上げて、マリーは溜め息を吐く。もし密入国者なら、職業柄、彼らを取り締まらなければならない。麻薬か何かの取引をしている最中、少年が誤って紛れ込み、強行手段に出た……大体こんな内容だろう。詳しく聞きたかったが、しかし今は、右腕にお荷物、腹部に拳銃と、下手に動けない立場にある。……どうしろってのよ。何も考えず首を突っ込んだ自分を心底恨んだ。

「ぅ……」

 そして、状況が漸く掴めた矢先に起きた少年も、恨む事にした。

「……わぉ、事態が悪化してるヨ」
「暢気に言ってる場合? 助けた私の身にもなって欲しいわ」
「あはは、うん、ゴメンなさい、ボクが悪ぅございますですはい」

 己が悪い、という自覚は一応持っているようだ。視界の端に、マリーに突き付けられた鉛色の物体を見付けて、珍しく表情を強張らせた。

(本文へ続く)
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